2016年7月23日土曜日

砂粒

海を見にゆく。
それは、わたしには、秘密の言葉のように親しい言葉であり、秘密の行為のように親しい行為だった。
何をしにゆくわけでもなく、ただ海を見にゆくということにすぎなかったが、海からの帰りには、人生にはどんな形容詞もいらないというごく平凡な真実が、靴のなかにのこる砂粒のように、胸にのこった。